ジュネーブ出張報告

有機食品に関する国際会議(ITF会議)がジュネーブで10月6日、7日に開催され、今回最終回となるこのITF会議に民間の委員(2004年以降5回目)として出席しました。概要をご報告いたします。

1.ITFの組織と目的
ITF会議は世界の有機農業の調和を図り、同等性の評価を進めるための検討委員会(International Task Force for Harmonization and Equivalence of Organic Agriculture;略称:ITF)で、国連関連機構のFAO、UNCTADとIFOAMがサポートしていますが、今回の参加者はこれら3機関からだけでなく、EUの有機農業担当委員、各国の農業省(スイス、チュニジア、中南米、タイ、フィリッピンなど)、中国のCNCAの政府関係者と民間からの参加者(オーストラリア、イタリア、日本、サモア、ケニヤなど)でした。私は第3回目から委員として参加してきました。

今回はITFの8回目の最終会議で、委員会として結論と提言を採択しました。その内容はやや専門的になりますので後述することとし、ここではUNCTAD事務局長スパチャイ氏の7日午後の公開会議での世界の農業のあり方についてのスピーチをご紹介します。出席者は当然の事ながら、有機農業の発展に熱意をこめて取組んでいる人々ですが、スパチャイ氏のスピーチは、私達の励ましとなりました。

2.スパチャイ氏のスピーチ
このスピーチの要約は次の通りです。全文の日本語訳を「日本と海外の有機関連ニュース」に掲載しますので、是非ご覧下さい。

1) 従来の農業生産方法を劇的に変更することが必要で、諸問題を解決する最良の選択は有機農業であると確信している。
2) その理由は、開発途上国の食糧不足や貧困からの脱却は、有機農業による小農家の生産と収入の増加によって可能。又有機農業は、外部資材への依存を低減し、環境負荷を減じるので、生物多様性と自然環境の保護だけでなく、気候変動の緩和に寄与する。
3) 開発途上国が有機農産物を輸出するには、認証という障害がある。
4) 世界の有機農業を考えるに際し、ITFの役割は重要で、世界の全ての有機の法的制度にかかわる公的機関と民間機関に、ITF会議の成果と勧告を受け入れ、二つ方法(ツール)を用いることを強く要請する。

写真中央がスパチャイ氏
スパチャイ氏のスピーチの様子
(写真中央がスパチャイ氏)

3.ITF提案の二つの方法(ツール)
ITFは

  • 既存の有機認証の要件、基準及び技術的要件の国際取引に与える影響
  • 有機食品の国際取引を可能にならしめている既存のモデルと仕組み
  • 有機分野における協力、認知、平等性判断の経験
  • 調和、同等性、相互認知するために有効なモデルと仕組み

を分析し、解決策を探求した結果、二つの方法(ツール)を開発しました。二つの方法(ツール)とは、IROCBとEquiToolのことです。

1) IROCB (International Requirements for Organic Certification Bodies) は認証機関に求められる要件を定めた文書で、ISO65に基づき有機食品分野に適合させています。この規格は、他のシステムによる有機食品を受け入れる方法として、政府機関或いは民間の認定(accredit)及び認証機関が使用するための参考とすることが出来ます。
(注:IFOAMの認定指標(accreditation criteria)と同種の文書です。)

2) EquiToolは政府機関又は民間認証機関が他の機関の同等性を評価するための方法を定めた文書で、世界の或る地域の基準が他の地域の基準と同等である時期を決めるための手続きと規範です。

但し、ITFは民間のIFOAMの基準と政府間のコデックス基準を支持しており、これらの基準に基づいて、調和と同等性を促進したい。
この二つの方法(ツール)については、別の機会に紹介いたします。

(報告:事務局 松本 憲二)

※おことわり:誤変換および翻訳漏れの語句等があったため一部加筆修正しました

(2008年11月7日追記)